ポテトとサルバドーラ

海外文学の読書感想文

フランス文学

『夜の果てへの旅』セリーヌ

戦争をきっぱり否定するのさ、そいつに加担する連中も、なにもかも、そういう連中とも、戦争とも、僕はなんのかかり合いも持ちたくない。たとえ奴らが七億九千五百万人で、僕のほうは一人ぼっちでも、間違っているのは奴らのほうさ(上巻p.105) 夜の果てへ…

『異邦人』アルベール・カミュ

この作品を初めて読んだ時の恐怖を、忘れることはできない。自分にとって蓋然性が高いと思われる選択を行って、日々誠実に生きていると、突然死刑を宣告されるという展開があまりにも恐ろしく、眠ることができなくなった。色々と思うところがあり、久々に再…

『舞姫タイス』アナトール・フランス

正義の罪深さをしみじみと考えさせたアナトール・フランス『神々は渇く』の感動を受け、本作を手に取る。『神々は渇く』のエヴァリスト・ガムランが革命のもたらす正義を狂信していたように、本作の主人公、修道士パフニュスは、キリスト教に対する排他的な…

『ペスト』アルベール・カミュ

カミュの作品の感想を書くと思うと毎回憂鬱になる。この感動に自分の言葉が追いつくことは永遠にないだろうなと思うからだ。そして、物語に埋蔵された大事なことの10%だって自分は持ち帰ってこられなかったんだという無力感を感じるからだ。いつも大事な何…

『神々は渇く』アナトール・フランス

義憤というのは、人を酔わせて、どんな残虐行為でも平気で行わせてしまうという点で非常に危険なものである。 神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3) 作者: アナトール・フランス,大塚幸男 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1977/05/16 メディア: 文庫 購入: 1人…

『女の一生』ギ・ド・モーパッサン

自分が今持っているものを慈しんで生きるのは、とても難しいことである。いつも「ここではないどこか」「これ以上のなにか」を求めて、人は不幸になっていく。 女の一生 (光文社古典新訳文庫) 作者: モーパッサン 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/2…

『ボヴァリー夫人』ギュスターヴ・フローベール

ボヴァリー夫人 作者: G・フローベール 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/07/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 素晴らしい作品だった。名作に出会うと、しばらくその物語から派生する物思いに頭を占拠されてしまうものだが、本作はま…