ポテトとサルバドーラ

海外文学の読書感想文

2021-01-01から1年間の記事一覧

『青い野を歩く』クレア・キーガン

また素晴らしい本に出会ってしまった。 なんという繊細さ、なんという深み。 青い野を歩く (エクス・リブリス) 作者:クレア キーガン 白水社 Amazon アイルランドを舞台にした短編集。全ての作品に儚い情景の美しさと、どうしようもない現実を引き受けて生き…

『わたしの全てのわたしたち』サラ・クロッサン

最近、ご縁があって、ある書店の選書の仕事をしている。人生で初めて「テーマに沿って本を選ぶ」ということをしているのだが、この作業によって読書の幅がぐっと広がっていき、とてもわくわくしている。今回のテーマは「他者」。本を探すために書店の棚の前…

『勝手に生きろ!』チャールズ・ブコウスキー

私の中には、とにかく真面目に、向上心を持つように方向付ける装置が内蔵されており、それがあまりにも自然な状態なので、そういったシステムを抱え込まないことの「軽さ」について想像するのが難しい。 ブコウスキーの仕事や人生に対する態度は、それとほと…