ポテトとサルバドーラ

海外文学の読書感想文

2020-01-01から1年間の記事一覧

<番外編>映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』

最近、とても忙しく、細切れの時間で本は読んでいても、なかなかまとまった感想を書けずにいた。 しかし、忙しい毎日に押し流され、見えやすい利益のために時間を使ってばかりいると、自分の外縁がどんどん希薄になっていくような嫌な感じがする。 そんなに…

『朗読者』ベルンハルト・シュリンク

ぼくはハンナの犯罪を理解すると同時に裁きたいと思った。しかし、その犯罪は恐ろしすぎた。理解しようとすると、それが本来裁かれるべき形では裁けないと感じた。世間がやるようにそれを裁こうとすると、彼女を理解する余地は残っていなかった。でもぼくは…

『サンアントニオの青い月』サンドラ・シスネロス

パドヴァの聖アントニウスさま。どうか、セックスするとき痛くない人が見つかりますように。(…)料理をしたり掃除をしたりしているのを人に見られても恥ずかしいと思わない、じぶんの面倒はじぶんで見られる人がいいです。(…)あなたがちゃんとした男の人…

『夜の果てへの旅』セリーヌ

戦争をきっぱり否定するのさ、そいつに加担する連中も、なにもかも、そういう連中とも、戦争とも、僕はなんのかかり合いも持ちたくない。たとえ奴らが七億九千五百万人で、僕のほうは一人ぼっちでも、間違っているのは奴らのほうさ(上巻p.105) 夜の果てへ…

『旅路の果て』ジョン・バース

人は、やってしまったことをもって、やりたかったこととして責任を取らなければならない(p.161) 旅路の果て (白水Uブックス (62)) 作者:ジョン・バース 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 1984/01/01 メディア: 新書 痺れた。ジョンバース、旅路の果て。こ…